ピアノ練習の習慣化

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日々の行動の約半分は習慣

アメリカのある研究では、私たちの日常の行動の約45%は、ほぼ毎日同じ場所で繰り返されている、つまり「習慣化された行動である」とされています。

いったん習慣化されれば、深く考えることなく、その行動をほぼ自動的に実行するようになります。
脳の処理容量には限界があること、脳のデフォルトは省エネであることから、目の前の出来事をいちいち詳細に検討して答えを出している余裕がないためです。

習慣の形成

ある目的のために考えながら行っていた行動(目的志向的行動)が、習慣的行動として定着していく過程は、3つの要素からなるループで説明されることがあります。

特定の一連の行動を引き起こす「きっかけ」、それによって生じる「ルーティン」、そして、そのルーティン行動によってもたらされる「報酬」の3要素です。
このループが何度も繰り返されることで、習慣として定着するというわけです。

例えば、会社から帰宅後のビール。
これは帰宅が「きっかけ」となって生じる無意識のルーティン行動です。
それはおそらくビールから得られる「美味しい」「リラックス」「開放感」などの、人によって感じる様々な「快」が報酬となって強化されていったのだと考えられます。 
(ちなみに、私はビールが苦手です。)  

練習を報酬にする

このような仕組みを利用するために、まずはお子さんが練習する「きっかけ」と、練習を始めるという「行動」により、練習時間自体が「報酬」になる方法について考えてみましょう。
報酬には、気持ち・感情なども含みます。
ですので、ご両親のことが大好きなお子さんにとっては、次のようなことが報酬となります。 (年齢とともに変化していきます)
(例)
・お母さんと2人で過ごす時間
・ご両親からかけられる優しい言葉
・褒められること
・ご両親が喜ぶこと
このようなことが報酬になるのであれば、ピアノの練習をする時間自体を報酬にすることもできますね!
お子さんが小さければ小さいほど、こういった報酬は大変有効です。
ここで、例えば練習をすると
・注意される
・怒られる
・周りで楽しそうに遊んでいるけど自分は入れない
・1人で頑張らなければならない
・横でスマホを見ている
というような状況になると、「ピアノの練習=嫌な状況になる」という等式ができあがり、報酬以前の問題になってしまいます。

ピアノの練習を習慣化させる具体的な方法

では、具体的にはどうやって習慣化させていけば良いのでしょう?
まずは、低年齢のお子さんの場合。
生活習慣の一つと練習をセットにすると習慣化しやすいです。
《きっかけ》
・朝御飯を食べ終わったら
・おやつを食べ終わったら
・晩御飯の前
・お風呂の後
・遊んで帰って来たら
幼児さんは夕方は疲れているお子さんが多いため、朝練がおすすめです。

《報酬》
・お母さんと2人で過ごす時間
・ご両親からかけられる優しい言葉
・褒められること
・ご両親が喜ぶこと

ある程度大きくなったお子さんの場合。
「上手くなりたい」「この曲を弾けるようにしたい」などの目標を持つことができ、ある程度の理解力があり、1人で楽譜を読んで練習できる年齢。 (一人一人の成長度合いにより年齢は異なります)

《きっかけ》
宿題の後、学校から帰宅後など、自分で練習する曜日と時間を決めて、カレンダーに書き込むことをおすすめしています。
そして、その時間になったら声かけをします。 (その時、練習を強制しない。怒らない。)

《報酬》
・達成感
・自信
・自己効力感(自分はやればできる)
・音楽の楽しさ、心地良さを感じる
・褒められること
・ご両親が喜ぶこと
・学校で尊敬されるなどの嬉しいイメージを持つこと

時間管理能力について

低年齢のお子さんの場合、自分で時間の管理をすることは出来ません。
大人と同じような時間の感覚が身についてくるのは中学生頃と考えておくと良いでしょう。 (その部分の脳が大きく成長するのは10歳以降です)
それまでは、時間を見つけて練習するというのは難しいのです。
ですので、出来ればお子さんと相談して練習時間を作ってあげる必要があります。
よく「好きなら隙間時間にでも1人で弾くはずです」とおっしゃる保護者様がいらっしゃいますが、私は小学生以下のほとんどのお子さんには、それは難しいと考えています。
なぜなら時間の感覚が身に付いていないこと、また、練習は楽しいことばかりではないからです。
小学生の頃からピアノの先生になりたかった私でさえ、それは出来ませんでした。
時間管理が上手くいくことも、習慣化には必要だと思われます。 ぜひ、低年齢のうちにピアノの練習を習慣化してしまいましょう!
その苦労を補って余りある音楽の恩恵を得ることができます!

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